見積書で「原価を開示してください」と言われたらどうする?

経営者が身に着けるべきスキル

〜正直すぎる対応が招くリスクと、その対処法〜


「原価を見せてください」と言われた経験はありませんか?

製造業や建設業などでよくある話――
見積もりを提出した際、取引先から「材料費や人件費など、原価の内訳を出してほしい」と求められることがあります。

実は私も、かつて大手メーカーの購買担当者から何度も同じ要求を受けました。
当時は驚きました。「そんなに詳細な情報を出してしまって、本当に大丈夫なのか?」と。


原価を出すことの“本当のリスク”

原価をそのまま開示するということは、利益率をすべて相手にさらけ出すことを意味します。

例えば:

  • 材料費がいくらか
  • 外注先にはどの程度払っているのか
  • 自社の利益はどのくらいか

これを全て見せると、価格交渉で完全に主導権を握られてしまいます。


「原価開示」は本当に必要なのか?

実際に、大手企業や公共機関に提出する見積では、ある程度の内訳を求められることがあります。
それは、担当者が社内説明のために必要だったり、国の補助金制度の関係だったりする場合も。

でも、それでもなお、細かすぎる原価開示には慎重になるべきです。


私が実践してきた“スマートな対応法”

過去のケースでは、原価の各項目に自社独自の社内レートをかけて、参考値として提出しました。
そしてこう伝えました:

「これはあくまで社内レートによる算出であり、実際の原価とは異なります」

こうすることで、一定の透明性を保ちつつ、詳細な数字は守ることができます。


それでも要求が続くなら?

最近では、私が支援している企業にも「もっと詳しい原価を出して」との要求が来ました。
そのとき私はこうアドバイスしました:

「素材価格や人件費の上昇など、公的に出ている情報を根拠にすれば十分です。自社の原価までは開示する必要はありません」

むしろ、そのような要求をされる取引先に対しては、
「今後も本当に付き合っていくべきか」を見直すきっかけになるかもしれません。


「見積=積み上げ式」の時代は終わり

そもそも、見積金額は原価の合計ではなく、“提供する価値”で決まるべきです。

  • クオリティ
  • 納期対応
  • サポート体制
  • ブランド信頼性

これらを無視して、「原価だけ見せろ」と言ってくる相手にすべて合わせる必要はないのです。


最後に:毅然とした対応こそが、ビジネスを守る

昔ながらの慣習に流されるのではなく、
「フェアな関係を築くために、何を守るべきか」を見極めることが、これからの経営には必要です。

見積もり一つとっても、それは“経営スタンス”を示すメッセージ。
堂々と、プロフェッショナルとしての立場を貫いていきましょう。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!
見積もりに悩んだとき、ぜひこの記事を思い出してください。

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