ビジネスの現場では、態度の悪い取引先に直面することがあります。高圧的で非協力的な相手にどう対応すべきか、悩んだ経験はありませんか?今回は、実際に私が経験した事例をもとに、信頼関係を築くためのアプローチをご紹介します。
1. 問題の背景:非協力的な通関業者との関係
私の妻が勤務する商社では、海外工場から部品を輸入し、船や航空機で日本へ届ける業務を行っています。その中で、通関業者(乙仲)の担当者が非常に態度が悪く、トラックの手配やコスト削減のための混載対応などにもまったく応じないという問題が発生しました。本来、商社と乙仲の関係では発注者(商社側)が立場的に上ですが、この商社は「人が良すぎる」ことで有名で、強く言わないためにナメられている節もあるようです。
さらに、コロナ禍以降の物流減少やトラック運転手の不足などもあり、乙仲側の態度が一層横柄になっているようです。このような状況は、外部環境の変化に応じて態度を変える人がいることを示しています。こうした関係がそのまま会社に引き継がれてしまうと、長期的に見て大きなリスクになります。
2. 実際の対応:信頼関係の構築
私が商社時代に経験したことですが、ある日突然、大手メーカーの課長から「取引停止」を申し入れられたことがありました。当時は私の担当外だったため放置していたのですが、役員陣が対応しても打つ手なし。ついには「変態課長」とまで陰口が出るような状況に…。
そこで私に白羽の矢が立ち、「あの取引先を復活させてこい」と(笑)。最初は名刺すら渡してもらえず、まったく取り合ってもらえませんでした。しかし、何度も足を運んで話を重ねていくうちに、少しずつ状況が変わっていきました。
実はこの課長、あるプログラムの赤字をなんとかしたいという切実な想いを持っていたのです。しかし、こちらが「単なる値下げ要求」と誤解して真剣に取り合っていなかっただけでした。
私は商品の値下げはせず、発注数量や在庫の見直しでコストを削減する方法を提案。結果として、そのプログラムは黒字転換し、取引停止のレターは正式に取り消しに。今でも感謝されています。

3. ビジネスは人と人の信頼関係
この課長、今や上級部長に昇進し、次期役員候補と目されています。いまでも時々一緒に飲みに行きますが、彼が言ってくれるんです。
「最初にあなたに会ったとき、“ビジネスは組織と組織の関係だ”と言いました。でも今は違うと思ってます。やっぱり、ビジネスは人と人との信頼関係なんだって。」
結局、肩書きや会社名なんて外せば、ただの人間です。そこにリスペクトがあるか。それこそが、ビジネスの土台です。
これは下請けかどうか、発注者かどうかなんて関係ありません。人と人が信頼し合うことで、ビジネスは成長するんです。
「人間力」こそが、最強の営業力・マーケティング力ではないでしょうか?
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