中小企業の多くが、未だに「値上げ=悪」と考えている風潮があります。
しかし、2025年の今、それは命取りにもなりかねません。
本記事では、値上げに踏み切れない企業が直面するリスクと、今こそ求められる“意識改革”の重要性について、実例とともにお伝えします。
1. 売価を上げられない企業の末路
原材料価格の高騰、電気代や物流費の上昇、さらには人件費の上昇圧力…。
これらが重なっている今、売価に転嫁できない企業は、利益率を削って“体力勝負”に陥っている状態です。
結果として…
- 営業利益は限界まで縮小
- 社員の給与は据え置き、モチベーションは低下
- 設備投資もできず、競争力は徐々に失われる
…という悪循環に入ってしまいます。
「お客様に申し訳なくて値上げできない」と言う経営者もいますが、それは一見“優しさ”に見えて、実は自社も社員も顧客も守れない危険な判断なのです。
2. 補助金制度にも明確な“選別”が始まっている
この流れは国の支援制度にも顕著に表れています。
たとえば、最近のものづくり補助金や事業再構築補助金では、
「従業員・役員を含む給与総額を年平均2%以上で増加させること」
が必須条件となっています。
さらに、県ごとの最低賃金上昇率を上回ることが求められており、実質的には3.5〜4%以上の年成長を求められるケースも多いのです。
つまり国は、
「成長できる企業」だけを支援し、
「現状維持や衰退傾向の企業」には公的資金を出さない
というスタンスに大きく舵を切っているということです。
3. 「中小企業だから無理」はもう通用しない
私はこれまでのセミナーで、何度もこう言ってきました。
「成長意欲のない企業・個人事業主は、淘汰されても仕方がない」
当然、厳しい言葉として受け取られました。
「中小・零細の気持ちがわからないんだろう」
「そんな冷たいこと言っても仕方ない」
と、反発を受けたことも一度や二度ではありません。
でも、私があえて問うのはこうです。
「あなたはいつ、“中小”から脱却するつもりなのですか?」
現状維持では、いずれジリ貧です。
淘汰されるのは、社会や政府のせいではなく、「成長を諦めている経営者自身」の責任です。
4. 値上げに踏み切れた企業の実例
ある製造業のクライアントでは、原材料費の高騰に悩みながらも価格を据え置いていた結果、赤字寸前にまで追い込まれていました。
私はまず、「値上げの理由」をロジカルに整理し、チラシや商談資料で“納得できる形”で顧客に伝える方法を提案。
「コスト上昇に伴う品質維持のための改定」というメッセージを明確に伝えた結果、1割の値上げを実現し、離脱した顧客はゼロでした。
さらに、値上げによって得た余力を使い、新たな商品開発にも踏み出せました。
売価を上げることは“搾取”ではなく、再投資による価値向上への第一歩なのです。

5. 「値上げできない」社長の心理に潜む落とし穴
多くの経営者が「値上げ=客離れ」と直結して考えてしまいます。
でも、それは価格だけで選ばれる商品・サービスを提供していることの裏返しでもあります。
むしろ今の時代、消費者は「信頼」「品質」「持続可能性」など、価格以外の価値にもお金を払う時代です。
「うちは中小だから…」という思考は、最大のブレーキ。
逆に、競合が価格改定できずに苦しんでいる今こそ、“違い”を打ち出すチャンスなのです。
6. 意識改革のための3ステップ
最後に、売価を上げ、企業体質を変えていくための基本ステップを紹介します。
ステップ①:現状分析
利益率・コスト構造・商品力を客観的に洗い出す。
ステップ②:伝え方を設計する
顧客の反応を想定しながら、値上げの理由と今後の価値提供を整理。
ステップ③:未来の姿を描く
値上げによって何ができるのか(社員還元・設備投資など)を明示する。
これができれば、値上げは「嫌な決断」ではなく「進化の手段」になります。
7. まとめ:あなたは「中小」からいつ卒業しますか?
経営者としての最大の役割は、「変化の先頭に立つこと」です。
会社の将来を守るためにも、今こそ“売価を上げられないマインド”から脱却しましょう。
補助金の支援も、銀行の融資も、従業員の信頼も、すべては「成長への意志」を持つ経営者に集まります。
あなたは「中小企業だから無理」と言い続けますか?
それとも「中堅企業に進化する」と宣言しますか?
未来を選ぶのは、社長、あなた自身です。
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