事業承継で陥りやすい落とし穴とは?
事業承継は、企業の未来を左右する大きなイベントです。
しかし、バトンを受け取った新しい社長が思うように力を発揮できないケースが少なくありません。
その原因のひとつが、退任した旧社長が会社に出入りし続けることです。
この「出入り」が、実は大きな妨げになっていることをご存知でしょうか?
旧社長が会社に出ることによる悪影響
一見すると「見守っているだけ」「口を出していない」と感じるかもしれませんが、旧社長の存在感は思いのほか大きいものです。
以下のような問題が起きがちです。
- 社員が新社長ではなく旧社長の顔色をうかがう
- 経営判断が二重になり、社内が混乱する
- 新社長が本来持つべきリーダーシップを発揮できなくなる
特に「会長」という肩書きで残ると、社員の意識が旧体制に引き戻されてしまうリスクが高まります。
ホンダ創業者・本田宗一郎氏の“英断”に学ぶ
ホンダの創業者・本田宗一郎氏にも、同じような状況がありました。
引退後、つい会社に顔を出したくなった本田氏に対し、参謀の藤沢武夫氏はこう言ったそうです。
「絶対に来るな」
その言葉に本田氏は納得し、引き返したといいます。
この行動が、次期社長の河島喜好氏への信頼を社員に示し、ホンダがより強固な組織へと成長する礎となりました。
引き際にこそ、経営者の真価が問われる
退任後も口を出したくなるのは、人間として当然の感情です。
ですが、会社にとって必要なのは、新しいリーダーが自らの責任で決断を重ね、成長していく環境です。
そのためにも、旧社長は一線から完全に退く勇気が求められます。
“身を引く”ことこそが、次世代にとって最高の支援なのです。

まとめ:事業承継の成功は「任せる勇気」にかかっている
- 旧社長が会社に出入りし続けると、承継は失敗しやすい
- 会長職を辞し、物理的にも精神的にも距離を取ることが重要
- 経営者の真価は「退任のしかた」でわかる
次回は「新社長が信頼を得るためにまず取り組むべきこと」についてお伝えします。
お読みいただきありがとうございました。
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