近年、「シニアの正社員雇用が増加している」という報道を目にする機会が増えました。
しかし、中小企業の現場に携わる立場から言えば、それが本質的な変化かどうかは疑問です。
1. 実際には年齢フィルターが根強い
求人票では「年齢・性別不問」と明記されていても、
実際には若手や男性が採用で優遇されるケースも多く見受けられます。
企業は柔軟な採用を掲げながら、年齢によるバイアスから脱却しきれていないのが現実です。

2. 中小企業における熟練工の属人化問題
よくある課題のひとつが、「技術の囲い込み」です。
特定の熟練工がノウハウを抱え込み、承継が進まないという問題が多発しています。
私が支援したある企業では、「その加工は◯◯さんにしかできない」と思い込んでいた工程を、
仕組みに落とし込んで共有化した結果、技術の可視化と承継がスムーズに実現しました。
属人化の裏には、「ポジションを守りたい」という心理的要因があり、
この課題こそが承継の最大の障壁です。
3. 採用で見るべきは“年齢”ではなく“資質”
私の持論ですが、採用判断において本当に重視すべきは以下の2点です。
- 人格(周囲との協調性・責任感)
- 経験値(特に“失敗経験”)
若さや年齢ではなく、「その人がどんな困難を乗り越えてきたか」を見極めることが重要です。
4. 今後の採用戦略に求められること
中小企業はもちろん、大手企業も「若手一辺倒」では限界があります。
- 中途採用
- 実務インターン経験者の活用
- シニア人材の再活用
こういった柔軟な戦略こそが、人材不足時代の競争力強化につながります。
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